いつでも行ける場所ほど遠いところはない

いつでも行ける場所だけど忘れ去られた遠い場所のイメージ図
ゆか

公園に行きたい

あっき

またー?
あそこならいつでも行けるじゃない

こんにちは、あっきです。

近い場所だったり、いつでも行ける場所って、後回しになりがちですよね。

「時間がある時にしよう」とか

「他にやる事あるし、あそこは後だな」みたいに。

でも、案外そういう場所にこそ、大切なモノが転がっていたりするもんだなって感じた出来事がありました。

今回はそんなお話。

あそこなら魚がいるかも

僕の母親の実家に行った時のことです。

その実家というのが岩手県の田舎町のさらに山奥で、めちゃくちゃ田舎なんです。

今では祖父も祖母も亡くなっていて家を管理してくれる人がいないので、放っておくと草ぼうぼうなんです。

田舎あるあるですね。

なので、僕の父や母、おじさんが定期的に行って草刈りをしたりしている状態でした。

僕も仕事が休みの時は草刈りの手伝いなんかで一緒に行ったりしています。

まぁ、それは口実で、僕の場合は手伝いというより釣りが目的なんですけど(笑)

その日も、草刈りをするって言うもんで、土曜日だったこともあり付いていくことにしたのでした。

おじさんも(母の兄)今では釣りをしないものの、昔はやっていたこともあって、僕が釣るのを見に付いてきてくれるんです。

あとは、山奥でクマが怖いので、心配して付いてきてくれるってこともあるかもしれませんが。

最近、同じ場所でしか釣っていないこともあったし新しい場所に行ってみたいなと思っていました。

で、いつも来る度に行かずに終わっていた気になる場所がありました。

観音様。

この付近ではそう呼ぶ場所があります。

川のほとりにある岩の隙間から湧き水が出る場所のことです。

小学校の頃はおばあちゃんの家に泊まりに来ると「観音様に水汲みに行くか」って言って、よくくる場所だったのです。

僕が中学校を過ぎてからはすっかり音沙汰のない場所になっていましたが。

20年以上は行ってないかな。

だから、とても懐かしい気もしたし、

「観音様って呼ばれる場所だし、絶対大物が釣れるべ!」

そんな思いでおじさんを誘ってみたのでした。

「久しぶりに観音様行ってみない?」って。

クマも怖いし、草が生い茂ってるかもしれないし、また今度にしよう

「観音様行ってみない?」

実は今日はじめて言ったことじゃないんです。

おばあちゃんの家に来る度に、観音様に釣りに行きたくて毎回言うのですが、クマが怖いからとか道が無くなってるかもしれないから、いつでも行けるからと言っていつもおあずけになるのです。

今回もそんな感じで、いつもの受け答えになっていました。

ちょっとだけ

せっかく休みで来ているし、今日も行けないの嫌だなって気持ちで、

「観音様に行く道があるかどうかだけでいいから、ちょっとだけ見てみない?」

ってことで、おじさんを連れ出し成功!

「ちょっとだけ」って、悪いセールスマンの決まり文句みたいですよね。

で、観音様へ続く道がある場所に寄ってみたんですよね。

そしたら、

見て直ぐに、どこが道かちゃんとわかる程度に、山道が残っていました。

普通、誰も行き来がなくなれば山道なんて草が生い茂ったり木が生えたりで無くなってしまうのですが。

意外すぎて

「誰か管理してたのかな」って会話をおじさんとしていました。

道がまだあるとなると行くだけなんです。

今度は

「せっかくだし鳥居のとこまで行ってみない?」

完全に悪いセールスマンのトークです。

おじさんも行く気になってました。

で、釣り道具も忘れずに持ったし、山道と記憶を頼りに鳥居があった場所を目指したのです。

そしたら案外すぐに付いちゃって。

小さい頃、大きいなとか長いなって感じていたものって、大人になると小さく短く感じることが多いアレです。

1分かからずに鳥居に到着。

しかも鳥居も祠も古くはなっているものの、昔のまんま形を残していました。

祠については汚れてもいないし、やっぱり残っている人たちで管理していたのかな?

そんなこと思いながらも、いつの間にか懐かしいなーなんて話で盛り上がっていました。

ここまでくると、僕よりおじさんの方が行く気まんまんでした(笑)

腰は重いけど、歩き出したら懐かしさはおじさんの方がすごいはずだもんな。

僕は20年ぶりだけど、おじさんがここに来るのは40年ぶり。

今度はおじさんの方から

「湧き水まで行ってみるか」と一言。

やっと久しぶりの場所に再開だぜって感じでワクワクしていました。

湧き水と涙

観音様の鳥居や祠がある場所から、さらに急な山道を降りると、川と湧き水がある場所に出れるようになっています。

急な山道といってしまうと長くて険しいイメージになりそうですが、10メートルくらいの斜面を気をつけながら降りる程度です。

斜面の道も懐かしく

終始「懐かしいなー」ばかりでした。

斜面を下り終わると、苔が広がる静かな沢が広がっていました。

夏真っ只中でしたが、木々が生い茂った中にあるので、木漏れ日が差している程度で雑草も少なく苔が広がる清々しい空気の沢なのです。

こんな感じだったっけかと思いつつ辺を見回したら、ちゃんとありました。

湧き水も。

20年経ったいまでもちゃんと湧き出ているのを見ていたらなんか胸が熱くなっていました。

「わー涙出そーだわ」なんて思っていたら

僕の後ろでおじさんが何か言ったような気がして振り返ったのです。

そしたら、おじさんはとっくに泣いていました。

口を押さえながら湧くように泣いていた。

おじさんがこんなに泣いているの始めてだったのでビックリして。


40年ぶりか。

ちょっとそれ見たら僕も泣くの我慢できなくなっていました。

今までで一番、綺麗な涙を見た気がした。

なんの忖度もなく、誰のためにでもなく、気持ちの湧くままに泣いていて綺麗だった。


ちょっとしんみりしてしまったけど、湧き水もちゃんと飲んだし。

やっぱり格別でした。

あとはせっかく来たので釣りも抜かりなく(笑)

意外と釣れなかったけど、

とても良い日になりました。

帰りの車の中でもおじさんの会話が絶えませんでしたね。

「行ってよかった」「懐かしかった」「また行きたい」


それ聞いてたら僕までうれしくなって、このワクワクは小学校に戻った気分でした。

清々しい夏休みでした。

こんなに近くに、いつでも行けるこんな場所に、人の気持ちをこんなにもしてくれる素敵な場所があったのかと思わされました。

40年は遠かったなぁ

そう感じました。

まとめ

まとめ

いかがだったでしょうか?

誰にでも大切な場所って必ずあると思うんです。

いつでも行けると思って、遠く遠く離れてしまっていませんか?

あまり遠くなってしまわないうちに訪ねてみてはいかがでしょうか(^^)

これを読んでくれた人が、大切なモノを見直すきっかけになってくれたら僕もとても嬉しいです。



それじゃ、また。